塩山温泉逃避行vol.2(2022/4)
ならではの味わい
チェックインの時間がきたので宿泊する旅館のある温泉街へと向かいました。
寂しい雰囲気の温泉街の中にあるネットで予約したかなり安い温泉宿。
普段はビジネスホテルに泊まることが多いし、温泉に行く場合はこじんまりとした旅館よりは広い大浴場や露天風呂のある大きめのホテルを選びがちです。
しかし今回は部屋数の多くない小さめの温泉旅館。
しかも極力出費を抑えたかったためトイレ、バスなしのお部屋です。
案内された二階の部屋は古いアパートのようで、昭和の時代の若者が住むような部屋にちょっとした憧れがあるせいか一目見た瞬間に気に入ってしまった。
鍵のかけ方にコツがあって、部屋に案内してくれたお兄さんがそれを教えてくれた。
それがまるで秘密をこっそりと打ち明けるような言い方だったのでなぜか少し嬉しくなった気がします。 ビジネスホテルや大規模なホテルではきっと味わえないものだと思いました。
絶対空いている貸切露天風呂
この旅館には大浴場とは別に貸切の露天風呂があり、鍵が開いていればいつでも何度でも入ることができました。
先客がいれば内側から鍵がかかっていて当然待たなくてはいけないのですが、不思議といつ行っても空いていました。
一人で入るにはもったいないほど広々とした露天風呂を独占できます。
これはとても優雅な時間、なのですが喜んで入浴していてもそろそろ外で待っている人がいるかもしれないと不安になりそわそわ。
必要以上に足早に出てしまいます。
そういう性格です。
案の定ですが、誰も待ってはいません。
貸切露天風呂には洗い場もありボディソープやシャンプーも完備。
そこが開いてなかったら大浴場へ行こうと考えていたけど毎回利用できたため大浴場へは一度も行きませんでした。
大浴場もどんな感じか見に行けばよかったと今さら思っています。
非日常な晩御飯
その土地で採れる名産物を食べたり、普段しない贅沢をするのが旅先での食事の理想。
食事にもやはり非日常を求めてしまうものです。
わたしの逃避行旅の食事も同じように非日常を味わえるものと決めている。
しかしその非日常というのは上のようなものとはちょっと違います。
タガが外れたようにジャンクなものをテーブルに並べて、貪るように品の欠片もない食べ方で食べる。
これです。
この日もエースコックのスーパーカップを汁物代わりにしてフライがメインのお弁当を食べました。
他のも単品のお惣菜をつっつきながらビールもだらだら飲みます。
本物の逃亡者にはなりきれない。
ならせめて食事くらいはノーフューチャーであれ。
それが逃亡者になりきれない自分へと課した都合の良い楽しすぎる試練だと思っています。 そして日常に戻ればちょっと後悔して摂生に努める、ってのをいつも繰り返している。
非常識なおじさんもやっぱり眠る
隣の部屋には誰もいないようだったが、隣の隣の部屋からは大きな声で喋っているおじさんの声が聞こえた。
こんなにも声が漏れるのかと驚いていたけど、トイレに行く時にその部屋の前を通って納得した。
扉を開けたままにしてるんだ。
なぜ?
とても非常識だ。
あまり見ないようにはしたけど、部屋のテーブルにたくさんの空き缶が並んでいるのがちらっと横目に入った。
居酒屋でもあまりお目にかからないくらいに酩酊した口調でだらだらと喋っている。
廊下に響き渡る声を聞きながら、迷惑だけどこれはこれで古き良き安宿ぽくてなんとなくいいなとも思ったりした。
ただこれが一晩中続くとなると・・・。
そう考えてゾッとしていたがしばらくすると静かになった。
修学旅行生や大学生グループ、女子旅、若いカップルなどとは違っておじさんは酒を飲めばあっさりぽっくりと眠ってくれる。
まったくもって迷惑じゃなかった。
そして自分も寝る前にもう一発温泉に入ってやろうと部屋を出て、明かりの消えたあまりにも暗すぎる階段を下りて行った。 もちろん貸切露天風呂の鍵はあいていた。
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