川治温泉逃避行vol.1(2022/7)
逃避行は滞在してなんぼなのよ
何度か逃亡者を気取って旅行をしてみました。
まるで追われてる身かのような面をしてひそひそと旅を楽しんでいたのですが、今までそうやってしていた旅行のすべてが1泊2日。
いったいそれのどこが逃亡と言えるのでしょうか。
ふとそんなことを思い始めると、1泊2日の旅なんて気分転換以外の何ものでもないような気になってきたではありませんか。
逃亡者よろしく目立たぬように知らない土地に紛れ込む。
そこまではいいとしましょう。
しかし、その翌日目覚めれば即帰宅。
なんじゃそれ。
お泊りじゃんか。
そんな恥ずかしい自分の頭にふと降りてきたワードがありました。
それが「滞在」。
逃亡者として重要なポイントとなるのは「滞在」するかどうかじゃないのか。
誰も自分を知らない土地に忍び込んで、人目を気にしながらの生活を数日でもいいから継続する。
それが逃亡と言うものだ。
真の妄想逃避行家を目指すのならば、連泊してその地に「滞在」することは避けては通れない課題みたいなものだと思いました。
もう誰にも文句は言わせない
ようやく逃亡の最低条件に気が付いたわたしは意を決して一週間のお休みを取った。
そして旅先でしっかり5泊することに決めた。
これでもう誰も文句は言うまい!
今までも誰からもなーんにも言われてはいないのだけど、しっかりそう思った。
これでようやく逃亡旅行として胸を張れるってもんだよ。
ここで絶対に間違ってはいけないのが目的地の選択。
今まで逃避行先を決める際に優先していたのは宿泊費や交通費が安いかどうかの1点だったわけだけど、当然ながらもっと気にしなければならないのはどんな町かという点だ。
過去のあらゆる逃亡旅行の経験(全部1泊だけど)からするとあまり栄えた観光地は良くない。
そういう土地は逃亡に向かない。
なぜならば、いろいろ誘惑が多くて楽しんじゃうから。
いろんなものを見て回ろうとしたり、何を食べようかと悩んでみたり。
それのどこが逃亡だよ。
理想は何もない土地で何もせずに過ごすこと。
身を隠すようにだ。
鬼怒川温泉はちょっと・・・全然違うような気がする
特別早起きをするわけでもなく東武線の電車を乗り継いで目的地の駅へ到着。
鬼怒川温泉に滞在しようと考えたわたしは、その日何をしていたかと言うと、ホテルにチェックインしてすぐに温泉を堪能し、それからビールを飲んでは旅情に浸り、窓の外から聞こえる川の流れる音を目を閉じて聞いたりと旅行を満喫しました。
そしてその夜、鬼怒川のホテルの部屋にて。
なんかちょっと違うような、というかまったくもって違うような気がしてきた。
昔に比べるとずいぶんと寂しくなったと言われている鬼怒川温泉。
しかし、現在どんな姿であれ結局は日本が誇る大観光地の部類なんだ。
そのせいかどうかわからないけど、わたしは普通にリフレッシュを目的とした旅行の気分になってしまっていた。
いやいや、こっちは妄想ではあるけれど逃亡中の身。
ひっそりと身を潜めるように過ごしたいのだ。
そこで鬼怒川温泉では1泊だけにして、ここよりもよりマイナーな温泉地である川治温泉へと移動しそこで残りの4泊を過ごすことにした。
どうして鬼怒川を前もって1泊だけしか予約していなかったかというと、まぁなんとなくそうなるような予感がしていたからです。
お部屋おまかせプランだった鬼怒川のホテルは一人なのにツインの和洋室。
逃亡者気分に浸るのならこれもなんか贅沢すぎてちょっと違うよなぁと感じた。
めちゃくちゃ快適に過ごしておきながら、あれですけど。
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